冷え性・しもやけから学ぶ自律神経の働きと対処法

冷え性、しもやけは交感神経優位で起こります。

交感神経の緊張が続き、体がアドレナリン浸けになると全身で血行障害が起こり、冷え性になります。

また、顆粒球も増え、活性酸素が大量に産生され、炎症が起こり、しもやけとなります。

○自律神経、免疫、内分泌の3者が支えあって、体の恒常性を維持しています。

睡眠不足、食生活の乱れ、運動不足、ストレスなどの生活習慣による自律神経失調や、微量の化学物質の摂取が、免疫力、抵抗力の低下、内蔵機能、ホルモン分泌機能低下を引き起こし、この身体の異常状態が、「警告信号」として、痒み、炎症を発生させます。

長引くアトピーで、その存在に気づきにくく、改善するにもどうすればよいか具体的によくわからないそんな厄介なものが自律神経の異常状態です。

交感神経と副交感神経のアンバランスとして表現されます。
交感神経と副交感神経のアンバランスは、手足の冷え、便秘、下痢、不眠、食欲不振、過食、眼精疲労、倦怠感、微熱、高熱、低体温などのいわゆる不定愁訴として、これらが単独、あるいは複合して現れます。
これらの原因として、睡眠時間、食事のバランス、身体を動かす機会、
慢性的な疲労・ストレスなどという要素があります。

人によっては、警告信号が、皮膚ではなく、他の部位にでることがあります。
鼻にでれば花粉症やアレルギー性鼻炎となり、
目では、アレルギー性結膜炎、気管支では、喘息となって現れます。
アトピーの根本解決には、これらの原因を取り除き、生活習慣を改善しなければならないのです。

最近は、冬となり、特にアトピーの治りにくいという方に冷え性が多く見られます。
半導体レーザーを交感神経を司る星状神経節近傍に照射することにより、交感神経が抑制されて、副交感神経優位となり、冷え性が改善し、アトピーが改善の方向に向かいます。

○自律神経のバランスの取り方

(1)半導体レーザー、指先を刺激する爪もみ法

ペインクリニックで使用される半導体レーザー(ソフトレーザーともよばれる)を星状神経節(首にある交感神経の集まっている部位)の近傍に照射する低反応レベルレーザー治療(low-reactive level laser therapy=LLLT)、星状神経節近傍の半導体レーザー照射。

この半導体レーザー治療は、ペインクリニックでは疼痛緩和のために利用されており、
治療効果としては局所血流の改善、神経異常興奮の抑制、刺激伝達の正常化、筋緊張の抑制、消炎作用、
創傷治癒の促進などの効果が得られるものです。

そして、星状神経節の近傍にこの半導体レーザー光(830ナノメートル:赤外線)を照射した場合、
同部位の神経ブロックと同様に顔面神経麻痺、Raynaud現象、花粉症などに効果があります。

大阪回生病院の皮膚科部長の庄司昭伸先生が最初に、アトピー性皮膚炎の治療にこの星状神経節近傍の半導体レーザー照射を応用されました。

この治療法が有用で、ステロイドの離脱に著しい効果がみられることを報告されました。
実際の治療では、星状神経節近傍に持田製薬のMedi-laser 150(150ミリワット)あるいは
Medi-laser1000(1000ミリワット)を3分から5分以上、週に1~2回照射してゆきます。

慣れると、1回に20分、30分当てられる方がいらっしゃいますが、
このくらい当てると相当な効果が得られます。

照射を続けていくと、自律神経の交感神経優位の緊張状態が緩和されて、内分泌機能や免疫機構の正常化し、よく睡眠できるようになり、だんだん患者さんの顔面の赤みが消失してゆき、
直りにくかったアトピーがいつの間にか改善していきます。

注射などのような治療時の痛みが全くないため、治療されたという心理的満足感が得られないことや、
すぐその場で治療効果があらわれるという即効性に欠けることなどが欠点といえば欠点ですが、
脱ステロイドの際のリバウンド症状を和らげるのに著しい効果があり、使用法も簡単で、
治療時間が短く済み、治療部位への正確な照射が可能で、痛みをともなわず、
合併症がおきないなど多くの利点があります。

刺絡療法でいう井穴という経絡の部位にこれを半導体レーザーを当てるのも副交感神経を刺激するので、
有用です。

自分で簡単に行える爪もみ法、でも効果が得られます。
刺激する場所は、手の指の爪の生え際の角あたりです。
右手の親指と人差し指で、左手の親指の爪の生え際の両方の角をはさむようにして、
30秒ほどギュッと力を入れて押さえます。

これを親指、人差し指、中指、小指の順に行います。
このとき、薬指は刺激しないようにしましょう。

同様に、左手の親指と人差し指で、右手の親指、人差し指、中指、小指を刺激してください。
これを毎日1~2回行ってください。

(2)適度な運動を行う

運動を行うと、当然、自律神経は交感神経が優位になりますが、
軽度の運動を心地よいと感じる程度に行った場合、逆に副交感神経が優位になります。

体を動かすと血液循環がよくなり、体内で発生した活性酸素を排泄することもできます。

アトピー性皮膚炎をはじめとして、さまざまな病気に運動が有効なのは、
自律神経のバランスを整えてくれるからです。1日30分~1時間のウォーキングがお勧めです。

(3)ストレスとうまくつきあう

悩みごとや心配ごとを抱えていると、交感神経の緊張が続き体調を崩します。
このような場合、やはり(2)の適度な運動がストレスを緩和してくれます。

やりがいのある仕事は心に張りをもたらしますが、いい意味でのストレスになりますが、
過ぎたるはなお及ばざるが如しで、体に変調が起こったら病気のサインと考え、休息をとることも大切。

「笑う門に福来たる」といいます。
おなかを抱えて笑うとき、自律神経の針は副交感神経に振れています。
気分転換で心と体がリラックスできれば、自律神経のバランスも改善します。

○交感神経の緊張が続くとどういう病気が起こるか。

交感神経の緊張は全身の細胞に及び、次のような障害を招きます。

(1)血流障害--血が止まる

自律神経は臓器や器官の働きを調整する際に、交感神経はアドレナリン、副交感神経はアセチルコリンと呼ばれる神経伝達物質を放出します。

アドレナリンには血管を収縮させる作用があるため、交感神経の緊張が続き、体がアドレナリン浸けになると全身で血行障害が起こります。

血液は全身の細胞に酸素と栄養を送り、老廃物や体にとって不要なものを回収しています。
血流障害が起こると、この循環が阻害され、細胞に必要な酸素や栄養は届かず、老廃物がたまる一方になります。冷えや組織の痛みは血流障害が原因です。

(2)排泄・分泌能の低下--出すべきものが出せない

交感神経が緊張しているときは、臓器や器官の排泄や分泌を調整している副交感神経の働きがおさえられます。
これは、"出すべきものが出せない"ことを意味しています。

出すべきものの中には、便や尿のように排泄されるべき老廃物もあれば、体がブドウ糖を利用するときに必要なインスリンなどのホルモン、食物を分解するときに必要な消化酵素、白血球が相手を倒すときに必要なたんぱく質など、体の働きを維持するために必要不可欠な物質も含まれています。

交感神経の緊張では、血流障害による"ためこみ"と副交感神経が正常に働かないための"排泄・分泌能の低下"という二重苦を招きます。

不要なものを捨てられず、必要なものは得られない。体にとって最悪の事態といえましょう。

(3)活性酸素による組織破壊--細胞が殺される

交感神経の緊張がもたらす、もう一つのトラブルは、顆粒球が増えることで活性酸素が大量に産生されることです。

活性酸素は全身のいたるところで発生し、その強力な酸化力で細胞を殺傷します。

これによって組織破壊が起こり、ガンや炎症性の疾患、糖尿病、動脈硬化など、さまざまな病気が発症するのです。

体の中では、呼吸で得た酸素から発生する活性酸素、細胞の新陳代謝から生ずる活性酸素など、さまざまなところから活性酸素が産生されますが、活性酸素全体の比率では、顆粒球から放出されるものが8割を占めています。

したがって顆粒球が増加すれば、体内は活性酸素でいっぱいになってしまいます。

ガン、胃潰瘍、潰瘍性大腸炎、十二指腸潰瘍、白内障、糖尿病、橋本病、甲状腺機能障害、急性肺炎、急性虫垂炎、肝炎、膵炎、化膿性扁桃炎、口内炎、おでき、ニキビ、動脈硬化、肩こり、手足のしびれ、腰痛、ひざ痛、各部の神経痛、顔面マヒ、関節リウマチ、五十肩、痔、静脈瘤、歯周病、脱毛、めまい、高血圧、脳梗塞、心筋梗塞、狭心症、不整脈、動悸・息切れ、偏頭痛、しもやけ、冷え症、アトピー性皮膚炎、便秘、胆石、結石、脂肪肝、尿毒症、うおのめ、ガングリオン、妊娠中毒症、口渇感、食中毒、味覚異常、視力低下、難聴、イライラ、不眠、食欲減退などが交感神経優位で起こります。

○副交感神経緊張状態ではどういう病気が起こるか。

副交感神経体を休めたり、リラックスさせるために働くので、緊張状態が起こっても体には大きなダメージとならないので、副交感神経緊張状態で起こる病気はさほど多くありません。

人は生まれた直後はとりあえず、外界に適応するために交感神経優位状態ですが、すぐにリラックスモードの副交感神経優位となり、思春期の頃から、交感神経優位状態となり、そのまま大人になっていきます。

子供の頃は、副交感神経優位状態が続いているので、アレルギー疾患の成立に重要な役割を果たしているリンパ球が多くなり、その結果としてアレルギー疾患になりやすくなるというわけです。

アトピーが小学校に上がる頃、あるいは10歳頃に治るという所以(ゆえん)です。

○顆粒球とリンパ球とはどういう働きをするのか。

白血球は顆粒球とリンパ球、単球に分かれます。
このうち顆粒球は、健康な人の場合で血液1立方ミリメートル当たり3600~4000個、白血球全体の54~60%を占めます。

顆粒球は傷を負うなどして、体に炎症が起きているときは1立方ミリメートル2万個に増え、白血球全体の9割に達することもあります。

血液検査で顆粒球が正常値を超えて多いときは、虫垂炎をはじめとして肺炎や扁桃腺炎の発症が疑われます。
顆粒球は血液の流れに乗って全身のパトロールにあたり、体内に侵入した細菌や細胞の死骸などを食べて分解し、体を守っています。

細菌の侵入した現場では、顆粒球を大量動員します。そこで、骨髄(骨の内部の空洞にある軟らかな組織で、赤血球と白血球を作っている)は緊急事態に対応すべく顆粒球を増産します。

そのため炎症などがあると、血液中の顆粒球がドッと増えることになります。

一方のリンパ球は、健康な人では白血球のうちの約35~41%を占め、血液立方ミリメートル当たりでは、2100~3000個含まれています。

リンパ球は体内にウイルスなどの異物が侵入してくると、これを「抗原」と認識し、抗原の活動を邪魔する「抗体」を作って捕まえます。

はしかに一度きりかからないのも、「抗原-抗体反応」が起こるからです。リンパ球は一度出会ったウイルスや細菌を抗原として覚えており、二度目にはしかウイルスが侵入すると、抗原(ウイルス)の活動を阻止するために大量の抗体を作ります。
こうして二度目の発病を防ぐことができるのです。

○自律神経と白血球との密接な関係。

活動的になっているときは交感神経優位になります。手足に傷を負いやすくなり、
傷口から細菌が侵入する機会が増します。

そこで、大型の細菌を処理してくれる顆粒球が増えて、いつでも動員できる状態になります。
一方、食物を摂っているときや休憩時は副交感神経優位です。
口や消化管から異種たんぱくやウイルスが侵入してくる危険性が高くなります。
こうした小さな異物は顆粒球では対処できないので、
リンパ球がいつでも動員できるように準備しておく必要があります。

そこで、日中の活動時は交感神経が優位になって顆粒球が増え、
夜間の休息時は副交感神経が優位になってリンパ球が増えます。

生物は、自律神経と白血球を連携させることで環境に順応し、
命を存続させるためのベストコンディションを保っているのです。

両者の関連をまとめると、
『交感神経が緊張すると、顆粒球が増え、副交感神経が緊張すると、リンパ球が増える』となるのです。

病気は自律神経が乱れ、白血球のバランスが狂って、
臓器や体を守るしくみがうまく機能しなくなった状態です。

顆粒球とリンパ球の比率が、顆粒球54~60%対リンパ球35~41%(2100~3000個)におさまっていれば、健康といえます。

交感神経が緊張しているかどうかは、
血液検査を行って顆粒球とリンパ球の比率を調べると容易にわかります。

2、3日のズレはあるかもしれませんが、ストレスがあるときは顆粒球が増加しているはずです。

ただし健康な人では、一時的に顆粒球が増えても、副交感神経の揺り返しが起こるため、
白血球のバランスは自然に回復します。

顆粒球の寿命は2、3日、リンパ球の寿命は1週間ですから、副交感神経を刺激し、
交感神経の緊張を解消すれば、だいたい1週間程度で白血球全体のバランスは正常化します。

仕事を早めに切り上げる、よく眠る、軽い運動をする、趣味に没頭する、アルコールを飲みすぎないなど日常的な工夫は、白血球の正常なバランスを保つうえでとても大切なことです。


東京都練馬区東大泉1-37-14 藤澤皮膚科


~冷え性・しもやけから学ぶ
自律神経の働きと対処法~  おわり


トピックス

▲藤澤皮膚科TOPへもどる