予防接種

① 予防接種とは

予防接種は、各種の感染症に対する免疫を持たない感受性者を対象に行われるもので、
感染予防、発病防止、症状の軽減、病気のまん延防止などを目的としています。

現在では、適齢期以前の女子に予防接種をすることで風疹、水痘などによる先天異常の発生を予防し、
キャリアの母親から生まれた児に予防接種をすることで、
B型肝炎のキャリア化を防ぐなど母子感染予防のためにもワクチンは真価を発揮しています。

お母さんから赤ちゃんにプレゼントされた病気に対する抵抗力(免疫)は、
麻しん(はしか)やおたふくかぜでは、生後8ヵ月頃までに失われます。

百日せきや水痘(みずぼうそう)では免疫をもらっていないのが殆どです。
母体からの移行抗体の減衰や感染症の発生状況などを考慮し、標準的な接種時期を守り、
できるだけ早期に接種をすすめ、接種率を高める必要があります。
感染症に罹患しやすい年齢は、百日せき・麻疹0~2歳、水痘1~4歳、風疹・おたふくかぜ3~4歳、
インフルエンザ5~14歳、日本脳炎5歳以下と40歳以上などとなっています。

予防接種は好発罹患年齢になる前に完了していることが必要です。

② 予防接種の分類

定期の予防接種:ジフテリア、百日せき、破傷風、ポリオ、麻疹、風疹、日本脳炎、BCG(一類疾病)。
インフルエンザ(二類疾病)。

任意の予防接種:おたふくかぜ、水痘、B型肝炎、A型肝炎、肺炎球菌感染症、ワイル病秋やみ、
その他定期接種で対象年齢の枠外に行うもの。

海外旅行に必要な予防接種:黄熱、コレラ、破傷風、狂犬病、日本脳炎、B型肝炎、A型肝炎など滞在地で必要なもの。

水痘、おたふくかぜも主に子どもがかかり、まれに水痘では脳炎に、
おたふくかぜでは無菌性髄膜炎や治癒後に難聴になることがありますが、大部分は軽く治る病気です。

しかし、大人ではどちらも症状が重く結構つらい病気です。

どちらも一度かかれば一生免疫があります。
もし、こどものうちにかかっていなければ予防接種をしておくのもひとつの方法です。

水痘は非常に感染力のある病気です。
兄弟・姉妹の一人が発病すれば免疫のないほかの兄弟・姉妹もまずかかります。
多くは1週間もすれば治癒します。水痘は予防接種以外に抗ウイルス剤を早めに使うと軽く治ります。

水痘の予防接種は、白血病やネフローゼ症候群でステロイド治療中のこどもがかかると致命的になることから開発されたもので、予防接種に積極的な米国では定期接種として使われています。

接種しても水痘にかかる人が2~3割いるといわれていますが、
自然にかかるよりも症状は軽いといわれています。
治ったとしても、痕が残ることを気にするという方には水痘の予防接種をお勧めします。

おたふくかぜは耳の下にある耳下腺が腫れる病気です。腫れがひどいとおたふく顔になるので、
このような病名がつけられました。
感染力は水痘と同じようにありますが、感染しても症状の出ない人が3分の1もいます。
大人では睾丸炎を合併しやすくなります。

麻疹(はしか)ワクチンの接種を!

日本小児科医会や日本医師会から、麻疹(はしか)ワクチンの接種キャンペーンがあります。

日本では1年間に約80人が麻疹(はしか)で死亡しています。

日本の麻疹の予防接種は対応が甘く、米国では日本が麻疹を輸出していると名指しで非難されています。

米国在住経験者の方から、米国では麻疹の予防接種が済んでいないと学校に入学できないと いう規則があると聞いたことがあります。

フランスでは、麻疹を含めて指定された予防接種の済んでいない子供は学校だけでなく保育園や幼稚園への入園が許可 されず、児童手当の給付もされないそうです。

フランスでは国、米国では州の予算で実施されているようです。

日本では地方自治体が値段を決めて、熱心なところとそうでないところが別れています。

諸外国の予防接種のプログラムと比べて、日本のプログラムは弱いそうです。

予防接種は好発罹患年齢になる前に完了していることが必要です。

日本の麻疹の予防接種は7歳6ヶ月までに受ければよいとなっていますが、
麻疹にかかる子供の大半は2歳未満ですから、
お誕生日がきたらすぐにお誕生祝いとして接種すべきだと考えている小児科医が多いようです。

はしか(麻疹)は自然に病気になったほうがしっかり免疫力がつくからいいという話は誤りです。

脳炎や脳症の発生率は

自然感染が1000人から2000人に1人

ワクチン接種後の発生が1000万人で3人です。

予防接種を副作用で嫌われる方がありますが、この差を見れば、その差歴然です。

日本では年間80人もの子供が麻疹で亡くなられています。

③ ワクチン類、治療薬及び診断薬

ワクチンは、その抗原の種類により生ワクチン、不活化ワクチン、トキソイドに大別されます。

また、発病の予防と治療のためには抗毒素があり、ワクチン接種前の診断に使われる診断薬もあります。

ワクチン

生ワクチン

ウイルス

ポリオ、麻疹、風疹、
おたふくかぜ、水痘、
黄熱

細菌

BCG

不活化
ワクチン

ウイルス

日本脳炎、インフルエンザ、狂犬
病、B型肝炎、A型肝炎

細菌

DPT、コレラ、肺炎球菌

レプトスピラ

ワイル病秋やみ

トキソイド

毒素

ジフテリア、破傷風、
DT、はぶ

治療薬

抗毒素

ジフテリア、破傷風、
ガスえそ、

ボツリヌス、まむし、はぶ

診断薬

ウイルス

水痘抗原

細菌

ツベルクリン

④ ワクチン接種前の注意

1)予診

予防接種を希望する者がその必要性を理解しているか、接種不適当者又は接種要注意者に該当しないか、
当日の体調がよいか等を判断するためには予診票の活用が不可欠です。

まず、あらかじめ配布されている「予防接種と子どもの健康」や
市町村から配布された予防接種の説明書を読み、
保護者又は本人が予防接種の必要性を理解したかどうかを質問します。

必要性を理解していない場合には、あらかじめ用意しておいた説明書を接種施設で読ませる必要があります。

問診事項は安全に当該予防接種が接種可能であるかを判定する重要な内容であり、
保護者の協力を得て十分に把握して下さい。

発熱の有無、慢性の心臓・肝臓・腎臓疾患の有無、けいれん(ひきつけ)の有無、
ワクチンの成分及び抗生物質による過敏性の有無、妊娠の有無、感染症の現在の既往状態、
免疫抑制剤及びその治療の有無、これまでの予防接種の既往などについて、聴き取ります。

2)接種不適当者及び接種要注意者

接種不適当者とは、接種を受けることが適当でない者を指し、これらの者には接種を行ってはなりません。

接種要注意者とは、接種の判断を行うに際し、注意を要する者を指し、
この場合、接種を受ける者の健康状態及び体質を勘案し、接種しなければなりません。

接種不適当者及び接種要注意者は、予診を行うことにより把握します。

(1)予防接種実施規則第6条に規定する接種不適当者は以下のとおりです。

1.明らかな発熱を呈している者

2.重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者

3.当該疾病に係る予防接種の接種液の成分によって、アナフィラキシーを呈したことが明らかな者

4.急性灰白髄炎(ポリオ)、麻疹及び風疹に係る予防接種の対象者にあっては、
妊娠していることが明らかな者

5.その他、予防接種を行うことが不適当な状態にある者

(2)予防接種実施要領に規定する接種要注意者は以下のとおりです。

1.心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患及び発育障害等の基礎疾患を有することが明らかな者

2.前回の予防接種で2日以内に発熱のみられた者、
又は全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者

3.過去にけいれんの既往のある者

4.過去に免疫不全の診断がなされている者

5.接種しようとする接種液の成分に対して、アレルギーを呈するおそれのある者

⑤ ワクチンの接種間隔

あらかじめ混合されていない2種類以上のワクチンを接種する場合には、
通常不活化ワクチン及びトキソイド接種の場合は、1週間以上をあけます。

これは1週間経てばワクチンによる反応がなくなるためです。

また、生ワクチン接種の場合は、ウイルスの干渉を防止するため4週間以上間隔をあけて次のワクチンを接種します。

ただし、あらかじめ混合されていない2種以上のワクチンについて、医師が必要と認めた場合には、
同時に接種を行うことができます。

⑥費用(一般的な価格を表示)

定期接種は公費負担。

任意接種のインフルエンザ 4,500円~5,700円位。

おたふくかぜ 8,000円~8,500円位。

水痘 10,000円位。

asahi.com(07/06 02:13)から一部を抜粋

大学・高校ではしか流行 
医学部学生、自宅待機措置も

大学や高校で、はしか(麻疹)に集団感染するケースが相次いでいる。

国立感染症研究所感染症情報センターによると、今年に入って3大学、14高校で流行。

行事を中止したり、ワクチンを打ったりなどの対応に追われている。

医学部の学生が感染し、付属病院の患者にうつす恐れが出たため自宅待機措置をとった大学もある。

はしかは大人がかかると重症になる傾向があり、専門家は注意を呼びかけている。

鹿児島大(鹿児島市)では6月、医学部の1年生を中心に約60人が感染。

大学本部と4キロほど離れた付属病院での臨床実習の一部を中止した。

吉田浩己医学部長は、来年からは入学時に抗体検査をし、陰性ならワクチン接種を呼びかけるという。

感染研感染症情報センターが、大学や高校での感染情報の収集に乗り出したのは今回が初めて。

東京都や宮崎県、石川県などの高校でも、集団感染がおきていた。

昔に比べてはしかの流行が減ったことで、幼いころに感染せずにすんだワクチン未接種者やワクチンを接種しても予防効果がなくなってしまった若者が増えていることが背景にある。

予防接種法では、はしかのワクチンは1歳から7歳半までに受けることが「努力義務」とされているが、
接種率は8割程度。

大人が発症すると、高熱が続くなど、症状が重くなりがちで、快復後に免疫機能が低下する傾向も見られる。

80年代末から普及した「MMR混合ワクチン」で副作用が多発し、
旧厚生省は93年にMMRの使用を停止。
現在ははしかワクチンを単独で接種している。

はしかの予防接種に詳しい寺田喜平・川崎医大講師(小児科)は、
「米国ではワクチン接種の証明がないと大学に入学できない。
日本でも入学時に抗体検査をして陰性ならワクチンを接種するのがいい。」

子ども対象ワクチンの日米比較

子ども対象のワクチンの種類

日本1)

米国

BCG

1回

なし

B型肝炎

母親がHBsAg陽性の場合,3回
母親がHBsAg陰性の場合は,
任意接種

3回

DTaP

4回

5回

Td

11歳から13歳
で1回

10年ごとに1回

Haemophilus
influenzae
type b

なし

4回

IPV(不活化ポリオ)

承認予定

4回

OPV(生ワクチン)

2回

なし

日本脳炎

5回

なし

麻疹

1回

MMRで2回

ムンプス

任意接種1回

MMRで2回

風疹

1回

MMRで2回

水疱瘡

任意接種1回

1回
13歳以上は
2回接種

肺炎球菌
結合型 7株含有

なし

4回
場合によっては従来の23株含有の
ものを1回追加

A型肝炎

任意接種3回

特定のハイリスクグループに2回

インフルエンザウイルス

任意接種 1回
年齢により2回

1回または,
8歳以下で初接種の場合は2回

*DTaP:ジフテリア,破傷風,百日咳,Td:破傷風,
ジフテリア, MMR :Measles-Mumps-Rubella
1)木村三生夫,他『予防接種の手びき』第8版 近代出版


東京都練馬区東大泉1-37-14 藤澤皮膚科


トピックス

▲藤澤皮膚科TOPへもどる