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Excimer Lamp(VTRAC)照射療法

当院では、
Excimer lamp (VTRAC)によるUVB照射療法も行っています。
エキシマ(excimer)とは、
excited dimer(励起2量体)の造語で、
励起2量体からの発光がエキシマ発光です。
VTRACは、誘電体バリアー放電エキシマランプ、
高輝度塩化キセノン(XeCl:308nm)のExcimer lampを採用した、
光反応性の皮膚疾患に対するターゲット型UV治療器です。

下図のように、
従来のNarrow-Band UVBの311nmより
3nm短波長側の紫外線(UVB)が含まれるので、
Narrow-Band UVBに比べて紅斑反応を惹起しやすくなります。
Excimer Lampの場合、
最少紅斑量がNarrow-Band UVBの照射量の1/2~1/5程度となります。

図1

適応皮膚疾患は、Narrow-Band UVB照射療法とほぼ同じで、
アトピー性皮膚炎・尋常性白斑・尋常性乾癬・掌蹠膿疱症・類乾癬
・菌状息肉症・皮膚T細胞リンパ腫・円形脱毛症・慢性苔癬状粃糠疹
・扁平苔癬
です。
いずれも保険診療の適応となっております。

治療効果が表れるるまでの時間が短い
かゆみがおさまるのが早い(アトピー性皮膚炎や乾癬の場合)、
副作用のリスクが少ないなど、
期待されている最新の紫外線治療です。

UVBを広範囲に照射すると、
正常部位への色素沈着や副作用のリスクの心配がありました。
VTRACの場合、
UVBが照射されるスポットサイズは61×31mmと小さく、
正常部位へのUV曝露を抑えられるのが特徴です。

光のエネルギーは、
照射部位までの距離の二乗に反比例して弱くなります。
弱い光をいくら照らしても遠くまで届きませんが、
強い光なら一瞬であっても遠くまで照らすことができます。

図2

Excimer lamp (VTRAC )は、
ワンショットで表皮全体に高輝度の強力な光をしっかり届けることができます。

Excimer lamp (VTRAC)の特徴

波長308±2nmExcimer lampにより、
局所的に150mW/cm2という高輝度の光を短時間で照射するため、
従来のNarrow-Band UVB等の紫外線治療器よりも早期の治療改善効果が得られる。

②1ショットずつ患部に照射するため、
病変部以外の正常部位に対するUVの照射を防ぐことが出来ます。

VTRACは他社製品のExcimer lampよりも3~7.5倍の照射エネルギー量であり、
1回あたりの照射時間が短いため、
患部が広範囲に及ぶ場合でもスピーディな治療を実現できます。

なお、小さな局面には専用のアタッチメントを用いることで、
様々なサイズ・形状の疾患に対応が可能です。

写真1


UVBがアトピー性皮膚炎に効く理由

・個々の表皮細胞自身がコルチゾールを産生する能力を有しており、
 産生量が増えると皮膚炎が改善します。
 表皮細胞に308-311nmの紫外線が当たると細胞自身のコルチゾール産生が回復し、
 健康皮膚に戻ることの助けになります。
・ランゲルハンス細胞が減少し、抗原提示能が低下。
・角化細胞や肥満細胞のサイトカイン産生や痒み物質放出を抑制。
・サプレッサーT細胞を誘導。
・表皮内に伸びた痒み神経を正常の真皮と表皮の境目まで押し戻す。
・皮膚のバリア機能の改善、水分保持機能の正常化。
・痒みを抑える脳内物質を増やします。